副業の労働時間通算ルール見直しへ!中小企業が押さえるべきポイント
副業の労働時間通算ルール見直しの背景
最近、厚生労働省は1日8時間、週40時間を超える労働に対する割増賃金において、通算ルールの見直しを検討しています。この見直しの背景には、副業・兼業を促進しやすい環境を整備する意図があります。
現行制度の概要
現行制度では、法定労働時間を超える労働については割増賃金を支払う必要があり、さらに副業を行う場合、本業先と副業先の労働時間を通算して計算します。このため、企業が副業者を雇用する場合にも、本業先との合計時間が週40時間を超えた場合に割増賃金が発生する仕組みになっています。
見直しのポイントとその狙い
厚労省の有識者研究会は、2024年度内に報告書をまとめる予定です。報告書には、通算ルールの簡素化や副業推進のための改善案が盛り込まれると予想されます。これにより、中小企業も副業者を雇いやすくなり、労働者にとっても副業に取り組みやすい環境が整う可能性が高まります。
コメント
専門家として、副業の労働時間通算ルール見直しについて考えると、特に中小企業にとってはメリットが大きいと考えられます。現行制度では、本業先と副業先の労働時間を合算して割増賃金を計算するため、副業を認める企業には労働時間の管理が複雑になりがちです。これが見直されることで、中小企業はより柔軟な形で副業者を雇用できる可能性が高まります。特に人材不足に悩む業種や企業にとっては、従来よりも広範囲の人材を確保しやすくなるメリットが期待できます。しかし、労働時間管理が緩和される訳ではなく、あくまで適切な労働時間の把握が必要です。また、健康管理の観点からも副業者に対して過重労働を防ぐ仕組みは欠かせません。見直し後も、副業の届出制度や勤怠管理システムの導入を進め、企業が労働者の労働時間を適切に管理することが求められます。
実務ワンポイントアドバイス
副業者を雇用する中小企業にとって、労働時間の適切な管理は重要です。副業者の労働時間が法定を超えないよう管理するためには、まず、労働者が副業の状況を申告する仕組みを整えることが不可欠です。契約時に副業の有無や予定の勤務時間帯を確認し、労働契約書にその旨を記載することで、事前にトラブルを回避しやすくなります。さらに、日々の労働時間の管理には、クラウドベースの勤怠管理システムを活用するのも効果的です。リアルタイムでの勤怠確認ができるシステムを導入することで、時間外労働が発生しそうな場合にアラートを設定するなど、管理負担を軽減できます。また、労働者が無理な働き方をして健康を損なうことのないよう、定期的に勤務状況のチェックやヒアリングを行うことも重要です。副業が許容される環境の中でも、企業としては労働者の健康管理に対する配慮が求められます。
人事組織コンサルタントとして『ヒト』に関する課題の克服にも尽力。
経営理念の作成・浸透コンサルティングを得意とし、人事評価制度の作成や教育研修講師も含め、企業組織文化の醸成に取り組む。
2022年 電子書籍『一番わかりやすい経営理念と事例解説』出版。