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賃金デジタル払いが中小企業に与える影響とは?いつから導入すべきか?そのメリット・デメリット

 1. 賃金デジタル払いとは?

賃金デジタル払いは、従来の現金や銀行振込に代わり、厚生労働大臣が指定した資金移動業者(●●Payなど)を通じて賃金を受け取る方法です。この制度は、キャッシュレス決済の普及に伴い、社員が同意した場合に限り利用可能となっています。

 

2. 賃金デジタル払いの導入はいつから可能か?

賃金デジタル払いの制度は、既に法改正が行われ、今後順次導入が進んでいきます。中小企業では、制度に関する労使協定を締結したうえで、具体的な導入時期を決めることが必要です。導入を検討する際には、厚生労働省のガイドラインを参考にすることが推奨されます。

参考https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03_00028.html

3. 賃金デジタル払いのメリットとは?

賃金デジタル払いのメリットとしては、以下の点が挙げられます。
・社員の利便性が向上:スマートフォンで賃金の受け取りや管理が可能
・コスト削減:現金取り扱いの手間が省ける
・環境への配慮:ペーパーレス化が進む

4. 賃金デジタル払いのデメリットや注意点

一方で、賃金デジタル払いには以下のデメリットや注意点があります。
・手数料の負担:指定資金移動業者によっては、出金手数料が発生する場合がある
・システムトラブル:デジタルサービスに依存するため、システム障害や不正利用のリスクが考えられる

 5. 中小企業が賃金デジタル払いを導入する際のポイント

中小企業が賃金デジタル払いを導入する際には、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
・労使協定の締結:社員の同意を得たうえで、協定を締結する必要がある
・システムの選定:指定資金移動業者の選定や、社員への説明を十分に行う
・継続的な見直し:導入後も、労使間で定期的に制度の見直しを行うことが推奨される

6.専門家としてのコメント

賃金デジタル払いは、キャッシュレス社会の進展に伴い、社員の利便性を高める新しい制度です。しかしながら、これを導入する際には、中小企業の経営者や人事担当者が注意すべきいくつかの重要な点があります。特に、法的要件や実務的な観点から、制度の適切な運用を確保するための準備と手続きが不可欠です。

まず、賃金デジタル払いの導入に際しては、労働基準法の改正により、現金払いの原則からの例外として認められたことを理解しておくことが重要です。従来の賃金支払い方法とは異なり、デジタル払いを実施するためには、社員の同意が必須です。この同意は、単に口頭での了承ではなく、正式な書面を通じて行われなくてはなりません。また、企業は社員との間で「労使協定」を締結し、その内容を労働基準監督署に届け出る必要があります。この協定では、指定資金移動業者を選定し、その使用に関する詳細な条件を規定します。

次に、指定資金移動業者の選定は、企業にとって重要な判断ポイントです。各業者が提供するサービス内容や手数料体系、さらにはセキュリティ対策を慎重に検討することが求められます。特に、賃金を受け取る口座の受入上限額や、現金化の際にかかる手数料については、事前に社員に十分な説明を行い、納得を得ることが必要です。企業としても、指定資金移動業者の破綻リスクに備え、社員が口座残高を速やかに回収できるよう、保証機関との契約を確実に行うことが求められます。

さらに、賃金デジタル払いの導入により生じる可能性のあるリスクにも目を向けるべきです。例えば、システム障害やサイバー攻撃によるデータ漏洩、不正アクセスのリスクは現実的な懸念です。こうしたリスクを最小限に抑えるために、企業は指定資金移動業者と連携し、堅牢なセキュリティ体制を整備するとともに、定期的にシステムの点検を行うことが重要です。また、社員に対しても、デジタル払いに関するリテラシーを高めるための教育や訓練を実施し、不正利用やトラブル発生時の対応についての情報を共有することが望まれます。

最後に、賃金デジタル払いは社員の選択の自由によるものであり、導入を強制するものではないことを強調しておくべきです。また、賃金の一部を賃金デジタル払いで受け取り、残りを銀行口座等で受け取ることも可能です。企業は、社員が自身に最適な賃金受け取り方法を選べるよう、柔軟な対応を心がける必要があります。そのためには、デジタル払いに関する情報提供を行い、社員が十分に理解した上で、適切な選択を行える環境を整えることが不可欠です。ちなみに、社員が賃金デジタル払いを希望した場合、企業側は必ずそれに応じなければならないのか?については、社員側のみならず、企業側に対しても選択肢の1つであり、導入を強制するものではありません。

中小企業においては、賃金デジタル払いを適切に導入し運用することで、社員の満足度向上や業務効率化を図ることができますが、そのためには十分な準備と労使間の合意形成が求められます。法的要件を遵守し、リスクを管理することで、企業は信頼性を高め、社員との良好な関係を築くことができるでしょう。

実務ワンポイントアドバイス

賃金デジタル払いを導入する際は、まず自社の社員がどのようなニーズを持っているのかを把握することが大切です。また、導入前に指定資金移動業者のサービス内容や手数料を詳しく確認し、社員にとって最適な選択肢を提供することが信頼性の向上につながります。

 

 

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