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カスハラ対応策:中小企業が直面する課題とその解決策

はじめに

近年、顧客や取引先からの不当な要求や嫌がらせ行為、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が企業にとって大きな問題となっています。特に中小企業においては、カスハラへの対応が難しいケースが少なくありません。本記事では、カスハラの現状を理解し、企業が取るべき具体的な対策を考えてみましょう。

カスタマーハラスメントとは?

カスタマーハラスメントは、顧客や取引先からのクレームや要求が、社会的通念を超えて従業員の働く環境を害するような場合を指します。このような行為は、企業の大小に関わらず発生し、特に個人顧客との取引が多い小売業やサービス業で目立っています。厚生労働省でもカスハラに対する法整備が進められており、今後、企業はますます慎重に対応する必要があります。

カスハラの実態

帝国データバンクの調査によれば、2024年において、15.7%の企業が過去1年以内にカスハラを経験しているとされています。このうち、特に小売業や金融業、不動産業で被害が多く報告されています。企業規模別では、規模の大きな企業ほど被害が報告される傾向にありますが、これは大企業の方が顧客数が多く、様々なタイプのクレームに直面する機会が多いためと考えられます。

中小企業が取り組むべきカスハラ対策

カスタマーハラスメント(カスハラ)に対する具体的な対応策を講じている企業は50.1%と、半数程度にとどまっていますが、中小企業がカスハラに対して有効な対策を講じることは、従業員の働きやすい環境を守るだけでなく、企業の評判を高める重要なステップです。
以下は特に有効な対策の一部です。

1. 顧客対応の記録

顧客対応の記録は、カスハラを防ぐための基本的な措置です。具体的には、電話でのやり取りを録音し、メールやチャットでのコミュニケーションを適切に保存することを推奨します。これにより、顧客とのやり取りを証拠として残すことができ、後から問題が発生した際に迅速に対応できます。また、録音や記録の存在を顧客に伝えることで、ハラスメント行為を抑止する効果も期待できます。記録を基に社内での共有や問題点の抽出を行い、改善策を考えることで、より良い顧客対応につなげられるでしょう。特に小規模の中小企業においては、シンプルかつ効果的な記録方法を導入し、全従業員にその重要性を周知することが肝心です。

2. カスハラを容認しない企業方針の策定

カスハラを容認しないという企業方針を策定することは、従業員と顧客に対する明確なメッセージとなります。この方針を策定する際には、どんな行為がカスハラに該当するのか?具体的なハラスメント行為の定義を社内で共有し、従業員がどのような行動を取るべきかを明示することが重要です。また、この方針を全従業員に教育し、新入社員研修や定期的なトレーニングに組み込むことで、意識の向上を図ります。顧客にもこの方針を公開することで、カスハラが発生した際には企業がどのように対応するかを明示し、予防的な効果を狙います。HPなどへの掲載、社内・事業所への啓発ポスターなどの掲示が考えられます。このようにして、企業としての一貫した対応を確立し、従業員を守る体制を強化することが求められます。

3.サポート体制の構築

カスハラ発生時の迅速な対応を可能にするサポート体制の構築は、従業員の安心感を高める重要な要素です。具体的には、カスハラの被害を受けた従業員が相談できる窓口を設置し、専門の担当者が問題を迅速に処理できるようにします。特に小規模な企業では、従業員が孤立しがちなので、社内でのサポート体制を明確にし、問題が発生した場合には迅速に上層部に報告する仕組みを整えることが必要です。また、外部の専門家との連携を強化し、必要に応じて法的対応を講じる準備も行います。さらに、従業員のメンタルヘルスケアのためのサポートを提供し、心理的な負担を軽減する取り組みも効果的です。

4. 従業員への定期的な研修と教育

従業員に対する定期的な研修と教育は、カスハラへの認識を高め、適切な対応を促進するための基本的なステップです。この研修では、カスハラとは何か、具体的な事例、法的背景、および対応方法について学びます。特に、従業員がハラスメントを受けた際にどう対処するか、どこに相談すべきかを具体的に指導することが重要です。また、研修を通じて従業員が実際の場面で自信を持って対応できるよう、ロールプレイやケーススタディを活用することも効果的です。このような教育を通じて、従業員は自己防衛の意識を持ち、企業全体としても一貫した方針に基づく対応が可能となります。研修内容を定期的に見直し、最新の事例や法律を反映させることも忘れずに行いましょう。

専門家からのコメント

社会保険労務士の視点から見ると、カスハラ問題に対する法的な対応はまだ不十分であり、企業側の自主的な取り組みが求められます。特に中小企業では、限られたリソースの中でいかに効果的な対応策を講じるかが課題となります。法改正の動向を注視しながら、社内での対策を強化していくことが必要です。

実務ワンポイントアドバイス

カスハラを防ぐための第一歩は、従業員教育です。従業員がカスハラを適切に認識し、初期段階で適切に対応できるようにすることが重要です。具体的には、定期的な研修を通じて、どのような行為がカスハラに該当するのか、どのように対応すべきかを学ぶ機会を提供しましょう。また、専門家と連携し、法的にサポート体制を整備しておくことも有効です。

 

まとめ

カスハラ問題は、従業員の精神的健康や企業の評判に大きな影響を与える可能性があります。中小企業としては、法改正を見据えた対応策を講じるとともに、従業員を守る体制を整えることが求められます。日々の業務の中でカスハラに対する意識を高め、健全な職場環境を維持するために、ぜひ今回のアドバイスを参考にしていただければ幸いです。

 

 

 

 

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