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経営理念は本当に必要?中小企業における「いらない」という誤解を解く

経営理念を作成しない理由とは?

中小企業経営者の中には、「経営理念はウチにはいらない」と考える方も少なくありません。しかし、経営理念は企業の根幹を支える重要な要素です。ここでは、経営理念を作成しない理由と、その誤解を解くカギを解説します。

 「経営理念なんて、自分で作れるからコンサルタントは不要」

「経営理念は自分で作れる」という声をよく耳にします。確かにできることはできます。しかし、それは主観的・自己中心的な視点におちいりがちであることが問題です。自分のことは自分が一番わからないものなのです。誰しも、コンサルタントのみならず、先生や先輩、上司などに悩みを相談して、それを聞いてもらったり、簡単な質問を投げかけられたりするだけで、案外、自分では気づいていなかった視点に気づくことができた…という経験があるはずです。それと同じです。第三者として外部の専門家にヒアリングや適切な質問をされるだけで様々な視点でとらえることができるのです。
また、経営理念に社員の声を反映させる際に、社員の「本当の」意見を引き出すのは、社内だけではとても困難です。コンサルタントは、第三者として客観的な視点で企業全体を見渡し、社員にもフラットな立場で接してくれるので、なかなか聞き出せない社員の「本当の」意見もうまく引き出してくれます。

「すでに経営理念があるし、問題ない」

既存の経営理念が、全社員に浸透していると自信を持って言えるでしょうか?私の実感としては、胸を張ってそう言える経営者は2割程度ではないかと思います。経営理念が「表面上」存在していても、現場で活用されていないケースがほとんどなのです。経営理念は、現場で、社員一人ひとりが言動の指針にでき、実際の言動として作用してはじめて意味を成すものです。経営理念が「ある」ことと、「機能している」こととは全く別次元の話なのです。
また、経営理念が、現場で活用されていなかったとしても、社員が経営者に対して問題点を指摘することはまずなく、表に出てこない課題が存在する可能性が大いにあります。今一度、現状を見直し、経営理念が実際に機能しているかを確認することが重要です。

「小さな会社に経営理念は不要だ」

「小さな会社には経営理念は不要」という考えもありますが、これは誤解です。実際には、社員数が少ないからこそ、全員の意思統一がより重要になります。実際に私のコンサルティング事例では、社員数4名の企業で経営理念の策定を行い、その結果、組織力が大幅に向上した事例があります。
また、社員数が少ないうちに経営理念を策定し、コアな企業文化を早々に作り上げ、これから入社してくる社員には、その経営理念に共感した人材を採用していけば、企業文化に沿った組織づくりがしやすいとも言えます。今だけでなく、将来を見据えた組織づくりのためにも、経営理念の策定は欠かせません。

「経営理念なんて抽象的で効果が見えない」

「経営理念は抽象的で、具体的な効果が見えにくい」という声もあります。しかし、行動指針であるバリューにまで、きちんと価値観を落とし込むことで、抽象度はグンと下がり、日々の社員の行動に直結した具体的な効果を生み出すことができます。そして、経営理念の浸透・理解のための施策も継続的に実施し続けていき、組織力の向上につながれば、もちろん売上の向上にも寄与します。経営理念を行動指針にまで落とし込み、浸透・理解のための施策までセットで行えば、具体的な効果が表れないなんてことはまずありえません。

「経営理念なんて、すぐに効果が出るとは思えない」

まず、経営理念は短期的な効果を求めるものではありませんので、どうしてもすぐ効果が表れないと困るという経営者には経営理念の策定はおすすめしません。中長期的な視点で、自社がどうなりたいのか?社員にはどうなってほしいのか?お客様や地域社会などにどう受け入れてもらいたいのか?など、未来展望が必要です。そして、その理想に近づいていくために、経営理念を明確にし、全員で実践していくのですから。
しかし、今すぐに成果が見えないからといって、後回しにするのではなく、将来の成功を見据えて今取り組むことが大切です。策定も、浸透も、少しずつ地道に積み重ねることで、自社にとって理想的な組織文化が形成されていくのです。

「経営理念を作っても社員がついてこられない」

社員が経営理念に共感しないのではないかという不安を持つ経営者もいるでしょう。しかし、経営理念(特に行動指針であるバリュー)の策定プロセスを社員主導で行うことで、社員一人ひとりが自分ごととして捉え、理解と浸透が進みます。加えて、継続的に研修や面談を実施することを通じて、経営理念が日常の言動と連動するようになります。
私のコンサルティング経験上、もちろん反発される社員もいることは事実です。しかし、その方には、変に迎合せず、根気よく意義や価値観をお話ししていくだけです。反発される方は、概して仕事がよくでき、組織全体のことをよく考えているものです。心のドアが開くのを待ちながら、接するのです。

「経営理念に対する社内の反発が怖い」

確かに、経営理念を新しくすると、反発…つまり退職者がでることはあり得ます。ですから、経営者には、仮にその方が優秀な人材であっても、「自社の価値観に共感できない人は辞めていっても仕方がない」という覚悟が必要です。それが怖いということであれば、経営理念の刷新はおすすめしません。しかし、逆に、しっかりと自社の価値観を伝え、それにしっかり共感してくれる社員で進んでいく良い機会でもあります。長期的には企業にとってプラスになります。価値観に共感する社員と共に進んでいくことで、より強固な組織が形成されるのですから。

 

 

 

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