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休職制度とは?

休職制度とは、社員が病気や怪我、精神的な問題、またはその他の個人的な理由で一時的に仕事を休むことを許可する企業の制度です。つまり、「会社に在籍はしながら、しばらくの間、仕事を休むことができる」ということです。社員が健康を回復し、将来的に職場へ復帰することを目的とするものです。時代の変遷とともに、休職制度の理解と運用は進化し続けています。

時代背景による変遷

近年、うつ病に代表されるメンタルヘルス不調による休職が増加しています。それに伴い、休職制度も社員が心身の健康を維持できるよう支援するための重要な制度として位置づけられつつ、会社側の対応を正確に規定する傾向も同調しています。

企業の対応の注意点

(1)法律遵守
実は、労働基準法において、直接的に「休職」に関する規定はなく、例えば「一ヶ月以上は与えなければならない」等の規定はありません。ただし、「労働者の健康と福祉を保護するため」の規定は存在し、休職制度を設ける際に遵守すべき主な法律には、以下のようなものがあります。
労働者の健康保持義務(第66条):事業者は、労働者の健康を害することがないよう、適切な措置を講じなければなりません。これには、必要に応じて休職制度を提供することも含まれます。また、傷病休暇(第75条):労働者が病気や怪我で働けなくなった場合、事業者は一定期間、休職を認めることが推奨されます。
これにより、就業規則を作成する場合、休職制度は基本的に規定すべきでしょうし、実際、どの会社でも、ほぼ就業規則に規定されます。法的な推奨はもちろんですが、それ以上に、休職制度自体がまったくないということになると、社員が一時的に仕事を休まざるを得ない事情になった際に、社員も選択肢がなく、仕事を続けていくことが困難になってしまうという事態になり、会社側もその際の対応をどうするかが、その場対応になってしまう危険性があります。よって、実務的にも、休職制度はきちんと就業規則に規定しておくことをおすすめします。あとは、休職制度の内容を、会社ごとに価値観や風土にあわせてアレンジすればいいでしょう。

(2)休職期間長短の是非
休職期間の長短については、企業の価値観が反映される部分です。
一般的に、「長期間の休職」は社員にとって十分な回復時間を提供することができますが、企業側はその間の業務の空白(つまり、休職者の担当業務を誰がどのように埋めるか?業務量や労働時間、時間外労働、休日労働など、周囲の社員で負担を配分する方法など)という課題に直面します。
一方で、「短期間の休職」では、企業は上記のような対応が短期間になり、やりくりする負担も軽度でしょうが、社員が完全に回復せずに職場復帰か退職するかの選択をしなければならないというリスクがあります。

(3)賃金の有無
休職期間中の賃金に関しては、会社の規定内容よって異なります。ただ、法律上、休職中の賃金支払いを義務付けている訳ではありません。福利厚生の一環としての意味合いで、賃金の一部を支払う会社もありますが、やはり中小企業では休職期間中の賃金は「なし」とすることが多いことも現実です。

(4)休職期間中の賃金補償
休職期間中の賃金補償には、健康保険の「傷病手当金」を充てることが一般的です。当然、傷病手当金の支給要件に合致することは必要ですが、一定期間以上働けなくなった社員に対して、収入の一部(1日当たりの金額:=支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3)が補償されます。
よって、休職期間中の賃金 が「なし」であっても、約6割分の国の賃金補償があるので、(満額ではないものの)大丈夫という図式です。

休職規程の明確化

以上を踏まえた上で、会社は、休職または復職に関する規程を就業規則に明記し、社員に周知する必要があります。
規定すべき主なポイントは、以下のとおりです。実際に、休職や復職があった経験が会社側にないと、想定しづらい部分もありますが、できるだけ具体的に定めておくことをおすすめします。
①休職事由(休職とする前段階で、例えば、「私傷病による欠勤が欠勤開始日から〇日を超える時」のような事由および判定期間、②休職期間、③休職の申請等の手続き、④休職期間中の賃金の有無⑤休職期間中の社会保険料の自己負担分の支払い方法⑥復職時の判断(復職に対する判定基準や判定機関、医学的な判断を要する場合の医療機関・外部機関との連携等)

休職制度は、社員と会社の双方にとって重要な制度です。時代の変遷とともに、その理解と運用は進化、細分化していますが、根本的には社員の健康と福祉を守るためのものです。会社は、法律を遵守しつつも、会社に合わせた内容で、適切な休職規程を整備することで、社員を支援し、同時に経営上のリスクを管理することが重要です。

 

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